怖い夢
明け方ナンがぼくの布団に潜り込んで来ました。まだ暗かったのですが、ナンが顔をクシャクシャにして泣いているのが分かりました。
ぼく>どしたん?
ナン>怖い夢みた。
ぼくは両手と両足と頭とお腹でナンを包み込みました。
ナンはくるんと体を丸くして、ぼくの中にすっぽり収まりました。
固くこわばってカタカタ震えていた体が柔らかくなって、やがて呼吸も落ち着きました。
ナン>どんな夢やったか、聞いてくれる?
ぼく>いいよ。
なんでそんなことを聞くんだろう。
話して聞かせることでぼくまで怖い気持ちにさせてしまうことを心配しているのか。
それとも寝てるところを起こしてしまって申し訳ないと思っているのか。
いずれにせよ、この状況でぼくを気づかってくれたナンの優さに感動しました。
ナン>阪神淡路大震災みたいな地震が起きてん。
ナン>暗い階段みたいなとこにおってな、ケータイのスイッチが入れられへんねん。
ナン>そんでケータイ暗いとこに落としてどっか行ってもうてん。
ナン>怖くて公文もでけへんねん。
ナン>正夢になったらどうしよう思て。
途中で何度も声が裏返って言葉が嗚咽に変わりました。
怖い思いが痛いほど伝わってきました。
ナンを抱く腕に自然と力が入りました。
こんなに震えて公文の宿題なんかできるもんか。
ちっちの布団に逃げ込むだけで上出来だ。
最近テレビで阪神淡路大震災の当時の記録映像を何回も見た影響で、こんな夢を見たのでしょうか。
過去の災害や戦争の経験から学ぶことも多いので、そういうテレビ番組を見るのはナンにとっては良い経験になったと思います。
でもここまで夢でうなされるのは、ちょっと学びすぎだと思います。
ぼく>夢は人に話すと正夢になれへんからな。
ぼく>今ちっちに話したからもう大丈夫やで。
ナンは小さくうなずいて、それから寝返ってぼくに背中を向けて、ぼくの左腕を両手で抱え込んで、静かに眠りに落ちました。








